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2019.03.31
肉のフォーティエイト宣言(「ちんや」六代目店主・住吉史彦)

「肉のフォーティエイト宣言」~おいしい肉は480!

「ちんや」六代目店主の住吉史彦です。この話しは、もちろんアイドルの話しではありません、肉の話しです。が、数字だけは芸能界と共通しておりまして、「美味しい肉はフォーティエイト!」と覚えていただければと思います。
さて、何のことか以下につつしんでご説明いたしますが、
浅草「ちんや」は、平成最後の月=平成31年4月より、仕入れる牛さん一頭の重量(枝肉重量)を480キログラム以内に制限したいと思います。
「ちんや」は日頃より仕入れの際に牛さん一頭を単位に仕入れる「一頭買い」を行っておりますが、その際大き過ぎる牛さんは、美味しくない可能性があるので仕入れないことを宣言致します。

仕入れの選択の範囲をあえて好き好んで狭めると思っていただいても結構です。どのくらい狭めるのかと申しますと、出荷される黒毛和牛の頭数全体の20%程度を、まず重量により選択の範囲と決め、その狭い範囲の中だけから、さらに「適サシ肉宣言」により「ちんや」に向いた牛さんを選んで行く、ということでございます。中には600キロを超えるような牛さんもいますが、それは除外します。

重量制限を設けるということは、「小ぶり」の個体が美味しい、大きい個体は美味しくないことがある、
という、魚の業界でも良く知られた経験則を具体化、明確化するということです。

実は私は平成29年1月の「適サシ肉宣言」の時にも、この重量制限の件を言いたいと思っていました。
その時は諸般の事情により見送りましたが、
あれから2年、平成時代の終わりを迎えるに当たり、今回「どうしても平成の内に言ってしまいたい!」という気持ちに駆られて、ここに宣言致しました。
思えば、牛さんの味より重量の大きさを追い求めることは平成の畜産業界の弊風でした。その傾向が次の時代にまで続かぬよう、一人の買い手として姿勢を明確に致します。

畜産業界には、売り手として牛さんの重量を制限している団体として、唯一「神戸肉流通推進協議会」さんがあります。「神戸牛」ブランドを管理している団体です。
大きくなりすぎると「神戸牛」らしいキメの細かい肉質が損なわれる、つまりサシの形状が「小ザシ」ではなくて「粗ザシ」になってしまうと考え、「神戸牛」の定義に重量制限の項目を入れておられます。したがって重量が大きすぎると兵庫県産であっても「神戸牛」とは名乗れません。
一方、買い手として重量制限を公言している団体や会社を私は寡聞にして知りません。「ちんや」が本邦初かもしれません。

それはさておき、「ちんや」でに美味しいお肉、つまり「小ザシ」のお肉を追い求めるため、平成31年4月より仕入れる牛さんの一頭の重量を480キログラム以内に制限します。「美味しい肉はフォーティエイト!」と覚えていただければと思います。

4月初から新方針による仕入れを開始し、そのお肉を熟成させて、月末より浅草の店頭でご提供申し上げます。これまでより選択の範囲が狭まり、仕入れが困難になることから、月末の提供開始に合わせて価格も改訂させていただきますが、美味しさにつながる変更ですので、何卒ご諒承下さいませ。(終わり)

(注)「枝肉」とは牛さんから皮、頭、内臓などを取り除いた状態のことを言い、競りなどの売買取引は通常「枝肉」を単位として行われます。
(注)「小ザシ」のお肉が美味しい理由は、平成29年1月の「適サシ肉宣言」の時にご説明しました。再度確認なさりたい方は、こちらをご覧下さいませ。http://chinya-blog.com/?m=20170115