社員旅行で食べたすき焼き

悠晶 さん(東京都 45歳 )から頂いた投稿です。 その他編

 

 店頭のパンフレットで「思い出募集」と知り、私の体験をお話して
みたくなりました。

もう二十数年前の、社会人になって初めての年でした。
まだバブルの時期で、職場では全員が参加できる
費用全額会社持ちの泊まりの社員旅行がありました。

新入社員でもあり、当然参加するものだろう、と思って
参加した旅行、1日目の昼です。
名古屋で新幹線を降り近鉄で移動、松阪牛で知られる松阪で
昼食をとることになっていたため、大きなビルの
Wという店に着きました。

確か5・60名いた全員が入る大広間で、丸い卓に
4人くらいずつに分かれて座りました。
世間知らずの私は、どんなお店で何を食べるかも知らず、
しかも偉い人と同じテーブルになってしまい緊張して
いましたが、「すき焼きだ」ということは聞きました。

準備の仲居さんが食材を持ってテーブルについた時、
新入社員でもあったので訳もわからず「私、やります!」
と言うと、仲居さんにも「こちらでやりますから」と
言われ、周りの偉い人達にも笑われて恥ずかしくなりました。

それで黙って見ていると、しょうゆ差しのような入れ物から
しょゆのようなもの、つまり今考えると割り下を入れ、
ひと煮立ちしたところで大きなスライスの肉を入れ、
その上に白砂糖を山のように振りかけたのを見て、
驚きながらも(すき焼きってこういうんだ…)と感心して
眺めていました。
仲居さんは野菜も入れつつ、煮えた順に生卵をといた器に
一人ひとり入れてくれました。

偉い人達は当然のような顔で食べていましたが、
私はその場で人に作ってもらって食べるすき焼きというもの
自体初めてで、それだけで随分贅沢な感じがしたものです。
味はもちろん口の中でとろけるように美味しかったです。
しかも大きなスライスでしたが、一人あたり2枚、というのが
20代前半の私には美味しくても(もう終わり?)と思い
ました。

店を出てから幹事役だった先輩に、恐る恐る「今日の昼食って
一人いくらなんですか?」と聞いてみたところ、「一人1万円」
とあっさり言われ、驚きは数倍になりました。
社会人って、1万円のお昼食べるんだ…、大人って凄い!
と子供じみた感想を持ったせいか、その1泊旅行の記憶は
そのすき焼きのことだけで他にはまったく残っていません。

それだけその時のすき焼きは、私にとってインパクトのある
すき焼きだったようです。

 
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