父のすき焼

長谷部真由美 さん(千葉県 57歳 )から頂いた投稿です。 家族編

 

私が子供の頃、今から50年位前のことだと思う。我が家ですき焼をする時は常に鍋が二つ用意された。
五人家族の我が家は大きめの丸い卓袱台に小さな折り畳みテーブルを付け足した、その小さなテーブルの上では豚肉の入った鍋がぐつぐつと音をたてていた。父の為の鍋だ。
末っ子で、まだ小学生になるかならないかの私にはその肉が牛か豚かなんて事は知るよしもなかった。ただ、ただみんなでおいしい、おいしいと言いながら、みんなでお腹いっぱい食べた。
少し大きくなった頃、父の分だけが豚肉だったと知った。牛肉が苦手だと言っていた。
私が大人になった頃、父の牛肉嫌いは、父が子供の頃可愛がっていた牛が居て、それを思い出すからとか、ただの食べず嫌いとか色々言い訳を聞かされた。
父が亡くなって、もう15年・・・
本当はどっちだったのだろう?なんて、夫と二人「ちんや亭」のカウンターですき焼の牛肉をつつきながら、ふと思い出したりするのだ。

 
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