修学旅行のご馳走は

Y.O さん(東京都 45歳 )から頂いた投稿です。 その他編

 

 私の通っていた私立女子校の小学校修学旅行の行き先は、京都でした。1学年90名ほどが寒い2月の京都を訪れます。宿泊はこじんまりとした旅館でしたので、部屋の大きさが、大部屋から小部屋までまちまちでした。班分けは背の順で、背の小さなグループは大人数で大部屋に、私は一番背の高いグループでしたので、小さな6人部屋に、という具合でした。
 配られた旅行の栞には、毎日の食事の献立が細かく出ていますが、最後の日の夕食については「ご馳走」とだけ書かれています。「ご馳走って、何かしらね。」と食いしん坊の私たちは期待に胸をふくらませていました。
 「ご馳走」はすき焼きでした。小部屋の6人で鍋を囲みます。仲居さんが、「お代りたくさんしてくださいね」と京都弁で言いながらお肉を運んでくれました。「お代りたくさんしてくださいって言ってたわね。」と言いながら、仲良し6人、あっという間にお肉を平らげ、「お代りください!」と言いに行きました。
 するとなぜか仲居さん大慌て。毎年同じことを言うけれど、お代わりした子供たちは初めてだったようなのです。先生方にも連絡が行き、先生まで大慌て。別の部屋に余っているお肉を探しに行き、無事に大部屋で手つかずのお皿を発見して、「よく食べる子は大きくなるって本当ね。」というセリフとともに、お代わりが運ばれてきました。
 さて、それから約10年。私は京都の人と結婚しました。里帰りすると必ず1度は「ご馳走」のすき焼きが出てきます。京都の人は東京の人に負けないくらい、すき焼きが好きなのですね。私たちが帰ると聞くと、母は一番美味しいすき焼き屋さんに走り、すき焼き用のお肉をたくさん買ってきて準備します。
 季節によっては掘りたての筍が入ったり、細かな変化はありますが、お肉はやっぱりちゃんとしたお店でホンモノを買わないと、ということのようです。母や子供たちとすき焼きの鍋を囲みながら、修学旅行での先生方の慌てぶりを懐かしく思い出します。
 あれから30年。私の母校に通う娘の、修学旅行の行き先は京都。なんと宿も同じ。最後の日の夕食はすき焼きだったそうですが、お代わりはしなかった模様。

 
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